「姫野、俺…」

何かを言いかける悠斗の言葉を遮るように私は悠斗を見つめた

「私ね、本当は小学生の記憶って
ほとんど無いの…」


悠斗は何も言えず俯く


「だから…また悠君に会えて良かった」


私に悠斗がゆっくりと近付き
右手を伸ばし触れようとした瞬間


悠斗のジャケットのポケットから
携帯が鳴った


ハッとした悠斗の右手が
私に触れる事なく行き場を無くし
重力に従って降ろされた