昔、母が読み聞かせてくれた
絵本の中のお姫様は
王子様に気持ちを伝えることなく
何故、海にその身を投げ
泡になってしまったのだろう


「お姫様は、きっと王子様の事が
大好きだったのね」


隣で笑う母の横顔は子供の私には
理解出来ないでいた




いや

私には一生理解出来ないだろう


私を残し父を追うように
笑顔で目を閉じる母を…