自分より長身なのを除けば、蒼太はなかなか好印象だった。
 歳のわりに落ち着いた物腰、丁寧な口調。
 今時の若者には珍しい。
「どうぞ」
 タクシーで着いたアパートの部屋に招かれ、中に入って、開け放された襖の奥の部屋に目がいった。
 日の差さない部屋。
 なるほど、紅葉はちゃんと大事にされてるらしい。
 紅葉は汗をかいたからとシャワーをあびに行ってしまった。
 とりあえず居間に腰をおろし、紅葉の荷物を奥へ運ぶ蒼太に目をやる。
「どっか行ってた?」
「あ、はい。僕の実家に。僕達も電車だったのでそのまま駅で待ってました」
 蒼太の答えにアキラはちょっと驚いた。
 紅葉を実家へ連れていったということは、家族にも紹介したということ。
 通常では普通でも、紅葉は少し特殊だから、ちょっとやそっとでは考えられない。
 しかも二人はまだ知り合って日が浅い。