だんだんと夕日が赤みを増してきて

あたしたちの距離も随分と縮まった。


「えっ、じゃあ波音って、今まで二回しか付き合ったことないんだ!?」

ひかるは大きな目を更に大きくして言った。


「うん…。まぁ二回とも勢いだったし、いい付き合いではなかったな…」


あたしは、朱くなった空をじっと見つめた。

「…そっかぁ…。
でもきっと…波音なら素敵な人と巡り合えるよ!
あたしは、今まで付き合った経験ないし、どうとも言えないけど」


ひかるはペロッと舌を出して笑った。


意外だった。

ひかるのように綺麗な子も…付き合った経験がなかったりするのか。


あたしは、ひかるみたいなリアクションはしなかったものの

内心はかなり驚いていた。


気が付くと、家の近所まで来ていた。

「あ、ひかる…家って」

「んっ?こっち」

ひかるはあたしの家の方向を指差した。


「え、西町なの?」

「うん。あたし中二のときこっちに来たんだ」


だから今までに会ったことなかったんだ。