暫らくすると、彼女は出てきた。
走ってたときは、凛々しくて、男の子みたいだなって思ったけど
やっぱり制服はセーラーで、胸元の膨らみは、この子が女であることを物語っていた。
クロスのストラップが付いた鞄を肩に掛けながら、彼女はグラウンドから出て来た。
「お待たせ!!帰ろっか?
えっと…何ちゃん?」
「あ、波音……。結木波音です」
「ゆいき……はのんちゃんか…!いい名だね?
あたしは、里田ひかる!!
平仮名でひかる!呼び捨てで構わないから。
これからヨロシクね」
彼女…ひかるは右手を差し出してニッコリ微笑んだ。
「う、うんっ。あたしも、波音でいいっ」
あたしはひかるの右手を握った。
ひかるはこくりと頷き、あたしの手を引いた。
その力は、同じ女の子とは思えない、強い力だった。
やっぱり鍛えられてんだなぁ。
あたしはひかるの背中をじっと見つめた。