観覧車に乗ると、さっきまではしゃいでいたひかるが

夕日を見つめて黙り込んだ。



あぁ―

またあの瞳か。


ひかる……――


「あなたは…誰を思ってるの?」


無意識に、口にしていた言葉。

「え…??」


ひかるは、夕日から目を逸らして

あたしを見た。


「誰って…波音に決まって」

「ヤメテよ――!!」


やめて。

慰めみたいな言い方

しないで。

「ほんとのことを、言ってよ」

涙で、声が擦れた。


「…ごめん…。
………ごめんなさい…波音……。

あたし…っ、波音のお兄さんが好き――」


ほら……ね。


感付いては

いたの。


もしかしたら…

って。


でも、敵う相手じゃないって
わかってたから

認めれなかった。


あたしのほうこそ

ごめんね。ひかる。


「キスは…ほんとに波音を愛しいと思ったからしたの。
でも、やっぱり…」


そこで、ひかるは泣き崩れた。


あたし…何てことをしてたんだろう。

ほんとに好きな人を自分で縛って

苦しめてた。


ひかる

ごめんなさい――