「わ、わかんない…。
ひかる…可愛いし、いるんじゃない?」

嘘を、吐いた。


だって、ひかるを渡したくない。


やっと手に入れた愛しい人。


やっと見つかった愛すべき人。



それを、お兄ちゃんに渡したくない。


あぁ、あたし

なんて汚いんだろう。


なんて狡いんだろう。



「そっか…。まぁ…高嶺の花か」


落ち込んで、うなだれるお兄ちゃん。

ごめんね。


でも、あたしきっと、お兄ちゃん以上にひかるを愛してるの。

だから…言わない。


ひかるを、渡してなんかやらないから。