そう思いつつも

あたしはひかるのその瞳から

目が離せなかった。


吸い込まれてしまいそうな

綺麗な瞳。




「波音ってさぁ」

急にひかるが口を開いた。


「波音って、海みたいだよね」

両手を大きく海に向けて言うひかる。

「え?」

「大らかで、なんか、お母さんみたいだし」

「そうかな?」

「そうだよ」


そのあと

あたしたちは、日が暮れるまで、浜辺で話していた。

「そろそろ帰んなきゃね」

「うん」

あたしたちは、手を繋いで家路についた。


「ただいまぁ」

「おかえり」

よかった。

サボったことばれてない。


安心して部屋に戻ると、お兄ちゃんが入ってきた。

「どしたの?お兄ちゃん」

「いや、あのさ」


珍しく慌てた様子のお兄ちゃん。

「ひかるちゃんって、彼氏いんの?」


「……え…?」

何かが

崩れ落ちた。


「何…で、…そ……んなこと……き、聞くの?」


声が、震えた。



「いや、最近さぁ」

やめて

「俺、なんかひかるちゃんのことが」


ヤメテ


「気になるっつーか…、まぁ……好きなんだよな」


嫌…