暫らく、あたしは自分の身に何が起こったのか理解できずにいた。
――ちょっと待って…?
今、ひかる
あたしのこと好きって…
抱き締めてくれてる…
全てを理解したとき、涙が出てきた。
「ひ…っ…かる……」
「…何泣いてんだよ…泣き虫」
そう言って、ひかるはまた、優しく口付けをしてくれた。
信じられない。
絶対、叶わないと思ってた。
無謀な恋なんだと思ってた。
「ひかる」
唇を離したあと、あたしはそっとひかるを見上げた。
ひかるは…何か、切なげな
とても愛しい者を見るような瞳で
あたしを見ていた。
また…この瞳…。
違う。
これは、あたしに向けられたものじゃない。
…ひかる
あなたは、あたしを好きといいながら
いったい誰を思ってるの?