ひかるは立ち止まると、大きく深呼吸をした。

「潮の香りがする!」

嬉しそうにはしゃぎながら、ひかるは、あたしのとこまで来た。


「波音もしてみなよ!
気持ちいいからさ」

「うん」


あたしも、深呼吸をしてみた。

ひかるの言ったとおり、潮の香りがした。


「ほんとだ、いい匂い…」

「でしょ?」

あたしたちは手を繋いで、海岸沿いを歩いた。


「 …初めてキミを見つけたとき
 心が大きく動いた気がした
  初めて知った気持ち
  止められない
  止まらない
 これが恋なんだね…? 」


海を眺めながら唄うひかる。

あたしも、一緒にうたってみた。

「いい唄だね?何て題名?」

「この前の音楽室での続きだよ。
題名は…そうだなぁ。

……『初恋』…かなぁ」

少しだけ、頬を赤らめながら言うひかる。

可愛いなぁ。


じっとひかるの横顔を見ていると

目が合った。

……ドキンッ…


この痛み――

また…

まただ。