数日後

ひかるは、いつものようにあたしを迎えにきてくれた。


早起きが苦手なあたしをひかるが迎えにくるのは、日課のようなものになっている。


「波音、遅いですね」

「だろ?アイツマジで亀だから」

玄関からはひかるとお兄ちゃんの話し声が聞こえる。


最近普通に会話しだした二人。

いつも、ふたりの会話を聞くたびに、胸が締め付けられるような痛みに襲われる。


「ごめんっ、お待たせひかる」

これ以上二人に会話をさせたくなくて、髪をくくり掛けで玄関に出た。

「行こっ」

あたしはひかるの手を引いた。


「はーのーんー」

ひかるは急に立ち止まり、あたしの名を呼んだ。

「んー?何」

「あたし、今日部活ないしサボろうと思うんだけど。
海にでも行かない?」


突然のひかるの提案。

あたしは二つ返事でOKした。


「人いなーい」

歩いて三十分程のとこにある海につくと

ひかるは浜辺を走りだした。


やっぱり綺麗な走りだなぁ…。



あたしは暫らく…ひかるの走りに見惚れていた。