昨日のひかると今日のひかるの、ギャップに驚いていると、お兄ちゃんが出てきた。

「お前っ…朝っぱらから、うるっさいよ」


寝起きの不機嫌な声とイラついたような口調。

「あ、ごめん」

「ったく」


お兄ちゃんは怠そうに頭を掻いて、顔を上げた。

不機嫌さがもろに表れた目は、一点に集中して、大きく見開かれた。


「……友達?」

「えっ?あ、あぁ…うん。
里田ひかるちゃん」

「初めまして。波音の隣のクラスの里田です」


あ、隣のクラスだったんだ。

初めて知った。


チラッとお兄ちゃんを見ると、若干お兄ちゃんの頬が赤くなった気がした。

「!?」


暫らくの間たしたちの空間に沈黙がやってきた。


何か、嫌な予感がする。

「じゃ、じゃあっ、行こっか」


そんな予感を打ち消すように、ひかるがあたしの手を引いた。

「あっ、う…ん」


まさか…ね…?