湖柚は優しいし、過去が過去だけにこういう時はきちんと謝るに限るんだ。


“気マズイ空気はなるべく作らない”が湖柚とのつき合いを円満に保つルールの1つだって、鞠目と猫野に言われたし……今回は暴走したオレが悪い。


「立てるか?湖柚。ちょっと近くの自販機でジュースでも買って飲もうぜ。つか奢るし。喉、渇いたろ?」


とりあえずベンチにでも移動しようと、中腰で湖柚に右手を差し伸べた時だった。


「………謝らなくていいよ」


湖柚がポツリと一言だけ呟いた。


「そりゃ、外でいっぱいキスされたのはビックリしたけど――――…」