“何?”とか聞いている私だけど、彼が何を私と話したいのかはもう分かっていた。


「和果の事だよ……」


――――ああ、やっぱり……


「まずは和果と婚約者同士って事、黙ってて本当に悪かった。昨日も謝ったけど、あんなに傷つけてから謝られても遅いよな………」


キュッと軽くスカートの裾を握りしめて耳を傾けていると、苦しそうに項垂れる村星君。


「いいよもう、その事は……村星君に悪意があって隠していたワケでは無いって、もう分かったから」


“だから顔上げて?”と右手を村星君の左肩に添えると、端整な顔立ちが前を向く。