山谷………いや、早織と下校した。
めっちゃ嬉しくて、楽しかった。


ガンのことなんか忘れていられた。


でも、いつか優磨や貴大、そして早織にも
ガンの事、打ち明けなければならない。


そう考える度に胸が苦しくなってくる。


「ガンの事なんか忘れよ…」


そう呟いてスマホを取り出し、
SNSを開きながらベッドに寝転んだ。


タイムラインには、楽しそうに同級生が
はしゃいでいる動画がアップされていた。

(俺もバカやりながら長生きしてぇなぁ)



目を開けると、19:45。
寝てしまっていたようだ。

キッチンの方から母の
「ごはん出来たから早く食べなさい」

という言葉が聞こえた。
急いでダイニングに行くと兄と父が夕飯を食べていた。

テーブルの上には綺麗に盛られた酢豚と
餃子、ササミサラダとワンタンスープがあった。

俺の好物の中華料理だった。
料理を見ただけでテンションが上がった。

俺「やった!中華じゃん!!」

母「ちゃんとバランス良く食べなさいね」

俺「いっただきま~す!」

黙々と食べた。みるみるうちに料理は
空っぽの皿になっていった。