「・・・アイスさん?」

「・・・陽詩さん、1つだけよろしいでしょうか?」



打ち明けても無駄だ。



「僕、実は・・・」



でも口は言うことを聞かない。

気づけば、カキ氷を食べ終えた2人のバカップルが、こちらを眺めている。




「和泉氷、といいます」

「え?」



僕はスマホを取り出し、メモ帳を開く。

そこに自分の名前を打ち込んだ。



スマホを見た陽詩さんは驚いたように目を見開いた。



「和泉・・・!?」

「それに僕は施設育ちです」

「え?」

「そこの施設でいじめにあい、僕は施設を抜け出し、僕に情報屋にならないか言ってくれた人と出会いました」

「・・・母から聞いた兄と同じ過去・・・・」

「僕も、最初は驚きました。
ですがカセンなんて名字は少ないですし。
過去も・・・僕と一緒だ。
僕に妹がいないなんてことも断言できませんし」



一瞬俯いた陽詩さんは、上を向いてニッコリ微笑んだ。