「あ、氷さーん!」



元気よく手を振る紅羽。

澪鵺も「よっ」という感じで手を上げる。

女性は不思議そうに見ている。



「丁度良かった!
氷さん、実はこの人―――」

「アイスに来るんだろう?」

「そうそう!・・・って何で知っているんですか?」

「少しだけ聞かせてもらったよ。
紅羽たちは、カキ氷でも食べに来るのかな?」

「凄い氷さん!エスパーみたいですね!!」



普通だよ紅羽が鈍いだけ、と思ったのは伏せておこう。

紅羽が怒ると少しめんどくさいから。








数分後、バーへ到着する。

女性には冷たいアイスレモンティーを出し、紅羽と澪鵺にはカキ氷を出した。

紅羽はいつもの醤油味、澪鵺はブルーハワイ。

ちなみに醤油味というのは、おつまみに使う醤油をコオリにかけたもの。

塩分の取りすぎだから、控えるよう言っているけど、紅羽は醤油味のカキ氷が大好きだから。

隣で定番のブルーハワイを食べる澪鵺と、女性が驚いたように見ていた。




「改めまして。
僕はこのバーのオーナーをしております、アイスと申します」



初対面の人に、本名は言わないようにしている。

何かあった時、困るから・・・ネ?