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あー、良いにおいがする。



野菜をいっぱい煮たような、身体に優しそうな美味しい匂い。



おー、額に冷たいものを貼られている。



ふかふかの布団が気持ち良い…



ふかふか、、、



ふかふか、の…?



ん?



なんか、前にもこんなことあったような。



………



もしかして、これ、羽毛?





「!?」


意識はまだ少しぼんやりするけれど、私は自分自身を叩き起こす。


ぱちっと開いた目。


薄暗い室内。


少し開いたドアの隙間から、光が漏れている。


そこから先程のおいしそうな匂いが漂ってきているらしい。



とにかく。



ここは、家じゃない。


私ん家じゃない。


そして、一度だけ来た覚えがある。


あの時は、ゆっくりと周りを見回す余裕なんかなかったけど。


「…なんで…?」


嗄れた細い声で、私は一人暗闇で呟く。


どうして、自分は中堀さん家にいるんだろう。


おかしいな。


私の家に送ってくれるって言わなかったっけ。


もしかして、私また吐いたりしたのかな。


いやいや、それはない。うん。


と、とにかく。


どうもご迷惑をお掛けしたようだから、お礼を言って家に帰らないと。


そろーっとベットから這い出して、おぼつかない足取りでドアまで歩く。