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来ないで欲しいと思うと、大概時間は早く過ぎていってしまうもので。



「…はぁ」



パソコンの画面から目を放し、デスクに片頬をくっつけ、壁に掛かる時計を見た。



時刻は20時になった所だった。


オフィスにはまだ数人が残っていて仕事をしている。


憲子は裕ちゃんと約束があるらしく、先刻名残惜しそうに帰っていった。


会社から中央公園までは、少し、ある。


大体歩いて15分位か。


それでいて噴水広場は恋人たちのデートスポットでも有名だ。



正直、行きたくない。



溜め息も零れるというものだ。





でも、そろそろもうでなくちゃいけない。


身支度もあるし。



「…お先、失礼します。」



パソコンの電源を落としてから、身の回りを整頓し、ちらほらと残る人たちに声を掛けると、「お疲れ」が返ってくる。



更衣室に向かう足取りも重たい。



「いきたくなーい…」



鏡を見ると、冴えない顔した自分が映る。



心なしか、青い気がする。



「やだ、緊張してんのかな」



言いながら咳が出た。