―昼休み。




「え、じゃ、中堀さん会社まで来たって事?」



今日は二人ともそれぞれ手作りのお弁当を持ち寄って、陽の当たるカフェテリアでつついている。



椿井さんに朝言われたことを憲子に話すと、驚いたように箸を動かす手を止めた。



「クラブに行ったこと、そんなに嫌だったのかなぁ」



里芋の煮転がしを口に放り込みつつ、私は呟く。



「うーん…なんか、中堀さんて、イマイチ掴めない人よね」



難しい顔をしながら、憲子が溜め息を吐いた。


本当にその通りなので、私は大きく頷いた。



「…厄介な人と関わったよねぇ。なんだっけ、一番最初会ったのって…」



「駅から会社まで歩いて行く時にぶつかった時。」



私の答えを聞いて、憲子はうーんと考え込む。



「…本当に偶然だったのかな」



「え?それ、どういうこと?」



ちょっと里芋まだ硬かったなぁ、なんて頭の隅っこで思う。



「いや、ただ、なんとなくそう思っただけ、だけど。…とにかく。今夜のそれもよくわかんない要求だけど、頑張って乗り越えて早くおさらばしなさいね!」



意味深な言葉を未解決にしたままで、憲子は弁当箱に蓋をした。