「今から付き合って欲しい所があるんだ。細かいことはそこに向かいながら話すよ。」



中堀さんは前に向き直ると、ハンドルを握った。





―だ、、だ、、、駄目だ。



後ろに流れていく景色を見るフリをしながら、私は案の定唇を噛み締めていた。



彼は正真正銘、詐欺師だ。


私はそれをしっかりと知っている。


なのに。



私はこの詐欺師に騙されたいと思い始めている。



『俺のもんだから』



って言われて、不本意ながら喜んじゃってる自分がいる。


なんてゲンキンなんだ、私。