「そりゃ、悪いことしちゃったね」 これっぽっちも悪いと思ってなさそうな彼が、脱いだコートを誰も居ない助手席に追いやりながら言った。 「…でもね」 そしてネクタイを緩めながら、クスリと笑いを漏らし― 「二週間は、あんた俺のもんだから」 運転手から、ちらりと後ろを振り向いて、不敵に言い放った。