呆然としている僕を後目に荷造りの準備を彼女が始めようとしたので慌てて止めようとすると、[触んな]そう怒鳴って僕の手を乱暴に払った。


明らかにおかしい。まずこんな事する子じゃない。まるで催眠術をかけられて別人にでもなったかのような。嫌、別人になったのではなく、今、目の前に居るのは姿形は僕の彼女なのだが、それでも全く関係ない赤の他人にしか僕には思えなかった。

そう、それは冒頭でも言ったようにまるで一気に愛情と言う感情そのものを無くしてしまったかのようなそんな感じだ。

デーモンって本当に居るの知ってるかい?奴等は何処にでも居て悪さをする。君の回りに突然鬱になった人は居ないかい?もし居るのならそれはね、デーモンの仕業の場合がある。

………。

あー、突然他人の家に入って来ていきなりデーモンの話なんてしたらそんな感じのリアクションになっちゃうよね。笑っ

私はルナ。

いやぁ、ちょっとこの先でデーモンハンティングしてたら一匹逃がしちゃってね。それでデーモンの痕跡を追って来たらこの家にたどり着いたって訳なんだけど。笑っ

デーモン?逃がした?何を言ってるのか全く分からないのですけど…ってか誰?


だからぁ、ルナ!私の名前はルナってさっき言ったでしょ!ってか君少しどいてくれるかな?その女の子に用があるからさ。


いきなり人の家に上がって来て本当に何なんですか!?

良いからどいてくれるかな?その子もう助からないよ!

???助からないってどういう事だよ!?

はぁ。後ろ見てみい!それ本当に君の知り合いか?よく見てみいよ!

彼女は少し強めの口調で言った。