(声をかけるべきだろうか…)
かなり爆睡している模様…
(この子は男か…?女か…?)
自己紹介はあったものの、一日でクラス全員は覚えられない。
仕方なく俺はズボンかスカートで判断することにした。
「あ」
足を伸ばして寝ていてくれたおかげでスリッパに書いてある名前が見えた。
そして女の子だということもわかった。
雪原…?
ゆき…はら?かな…
「えーっと、ゆきはら?さん?もう下校時間だよー」
肩をとんとんっと叩く
「ん…んむにゃ…」
「寝てるなあ…ゆきはら?さーん」
ゆさゆさと揺らすとぴくりと手が動いた。
「あ、起きたかな。ゆきはら?さん。もう帰らないと学校締まりますよ?」
むくり…
「んにゃ…?誰だあんた」
「!」
やっとこさ体を起こしてくれたゆきはら?さん。
…かなりの(女性的)イケメンでした…
「あっ、あ、えと!」
「?…って、こんな時間!?やべ、バイト遅れる!誰だかしらんが起こしてくれてありがとね!私の名前は雪原。雪原 まや(ゆきはら まや)!またちゃんとお礼するから!」
「…」ぽかん…
口早に自己紹介され、そしてそのまま帰ってしまった雪原さん。
「雪原さん…かあ…」
かっこいい顔してたなあと思い出して、自分も帰らなければと教室をあとにする。
この雪原さんがただの同じクラスの女子ではなくなるのは、また後のお話。