名前を教えあったあの日から、カズくんはあたしと会うたびに声をかけてくれるようになった。



「おはよ!」

「どこ行くの?」



でも、もとから男の子とあまり話したことのないあたしには質問されたことにしか答えられない。


「お、おはよ」

「購買行ってくる…」


とかだけ…。




それでも、毎日毎日声をかけてくれるカズくんはあたしに呆れてるかも…



そんな風に考えてしまうこともあった。



他の男の子に話しかけられても、うまく話せなくてもこんな風に考えてしまうことはなかった。



なのに、カズくんとのことになると嫌われたくないと思ってしまう。



「なんでカズくんだけ、他の人と違う気持ちなのかな…」