「渼月(mizuki)ちゃん!
何か良いことでもあった?」


いつも声をかけてくれる
可愛い看護師さん


私は少し作った笑顔で


『空がね、とても綺麗だったの』


「あら、もう日が沈んじゃってる
私も見たかったな〜!」


私はあなたみたいになりたかったな
なんて。


もう冬がそこまで来てるような
寒々しい風が吹いた


何故か返事にふさわしい言葉が
出てこなくて黙ってしまった


「もう少しでご飯の時間だし
病室戻ろうか!」


『うんっ』


こんなに扱いにくい子供に
飽きもせずに声をかけてくれる
ことに私はすごく感謝してる



私の病室に人が訪れることは
あまりない



もし、理由があるとすれば


私が家族以外に


余命宣告をされたことを


言っていないからかもしれない




私の病気はいわゆる
"ガン"ってやつらしい


すい臓にあって

摘出することが難しいらしい
放射線治療も出来ないらしい


だいぶ進行していて

抗がん剤治療を
進められたけど


私は自分で断った