「佐野ー!!!」
「そんな大きな声出さなくても聞こえてるから」
と、一喝したとこで簡単に怯まないのが面倒な彼ら。
むしろ余計酷くなるのだ。
「佐野ちゃんてさ、結構ツンデレでしょ」
「はあ?そんなことっ」
「デレたとこ見てみてー」
「あ、やっぱそういうのは、好きな人の前でしかしないタイプだ?」
「それ、わかる!俺、すげーツボ」
男子軍団とは優月と同じクラスの男子五人組み。
とにかく小学生と変わらないくらいうるさく、厳つい不良軍団という訳ではないが、いつも五人でつるんで何かと騒がしいのだ。
今も勝手に盛り上がり、堂々と道を塞ぐ。
(このままじゃ通れないじゃん。うっざぁ。…よし)
何かを決断すると、すうっと息を静かに吸い込んだ。