「へー。勉強もスポーツもできて、料理もできて。面倒見よくて。その上、イケメンだし。そりゃモテるわけだ」
「ぷっ、どうした?褒めたって何も出てこねーよ。パンケーキなら山ほど焼いてあげるけどな」
「え?それ超嬉しいよ!相園君のパンケーキ食べ放題なんて贅沢」
はにかみながらそう言う彼女に、陸も顔を緩める。
「ふふ、どんだけだよ。クラス戻るけど、小柳は?」
「…もう少しここにいようかな。ついでに休憩」
その言葉の中で、彼女の独特の内に持つ冷たさを一瞬感じた。
初めてベンチで会話した時にも感じたものと同じの。
「そっか。じゃあ、また後でな」
「うん。頑張ってね」
小柳は持ち前の可憐な微笑みで手を振る。
陸はその彼女の中の温度差に妙に引っかかっていた。