最後まで楽しまないと勿体無い、そんな理由だけで、優月を後夜祭に誘ってくれた長澤。
もっと他に特別な理由があるのかもと、優月はほんの少し期待もして聞いたが、それだけでも充分嬉しく思っていた。
「…ありがとう」
「おう。…結構似合ってたぜ、優月姫」
優月の耳元で、わざとらしく囁く。
「あれは!何となく、ぼーっとして載せちゃっただけで」
「ふーん。そう?何か俺には寂しそーうに見えたけどな。王子様を探してるって感じの」
「は?どんだけ想像力豊かだよ」
(って、めっちゃ図星ですが…)
「あれ、違った?王子の俺待ってたんじゃねーの?」
「あはは、すごいねその自信。仮に待ってたとしても、シ、二、ガ、ミ、オ、ウ、ジは待ってないから」
「え~、じゃあ誰だろうな、優月姫の待ってた王子は」