堂々とみんなの前でイチャつけることが、単純に羨ましくもあり、自分には叶わないことだと思い知らされる。






半分開けた窓際の暗幕の隙間から、西日が差し込む。




里乃が置いていったティアラをそっと頭に載せる。


日に反射した金色がニセモノを忘れるかのように、煌びやかに輝く。








優月が幼い頃よく読んでいたお伽話の王子と姫。


もし自分がそのお姫様だったらと思い浮かべた時、王子様は絶対陸がいいと思っていた。





優月は幼い頃にもしていたそんな想像の物語を、目の前に広げた。






…いつの間にか誰もいない教室が、本に出てきたお城になっていて

そして気がつけば、自分もお姫様になっていて、一人ぼっちになってしまった私を、王子様が探しに来てくれる……。