「…と思ったけど、やめました!お二人を、この城の王子と姫として任命しまーす!さささ、どうぞこちらへ」

ノリノリで超明るい死神が二人を台の上に誘導する。


「お、おい、これぜってー仕組んだろ」



出口から二人が出ると、廊下ではクラス全員が勢ぞろいして待ち構えていた。


王冠とティアラを頭に載せた里乃と後藤は状況が飲み込めずに、ぽかんとした。



中にいたゴースト役も、優月と長澤も出てきて【1年3組 公認カップル誕生】にクラス全員で拍手を贈る。


「おめでとう!!」


「もー、いいよこういうのー」


「…私は、嬉しいけどね」


「そ、そうか?」



里乃と後藤の目の合わせ方が、まるで漫画に出てくる胸キュンシーンみたいだと、ぼんやり優月は思った。


何だか季節がここだけ一気に春に変わってしまいそうなほど、微笑ましくて甘酸っぱかった。