自由時間には同じ黒子役の子と、一応他の出し物を見て回ったが、ほとんど優月はクラスの為に動いていた。



初めての文化祭とあって、張り切っていたとこもあるが、細かな作業を夢中になって没頭することは、彼女の性分でもあったからだ。



食事を忘れて3、4時間はぶっ通しで編み物や縫い物をすることは日常茶飯事。


一日あれば、服も2着は余裕で作れてしまう程。




だから彼女が裏方に徹して夢中になるのは、当たり前のことだった。


しかし没頭するがあまり、周りが声を掛けても耳に入らなくなることも…。

そうなると家では陸に怒られてしまうのだが。






ダンボールで作った壁の中で、客を待ち伏せる優月。

客足が遠のくと、少しばかりうつらうつらと眠気が襲う。


さすがに朝から張り切り過ぎたらしい。