「なーにしてんのゆづ?もごもご動いて。黒子の練習?」
顔を上げ、解放された分大きく息を吸い込むと、そこには里乃がきょとんとして立っていた。
里乃の手にはさっきまで長澤が着ていた死神のマントが。
真っ暗になった原因がわかると、優月は拳を握り、アルミ缶でもあったらぺっちゃんこになりそうな程力を入れた。
今まで以上に怒りがふつふつとこみ上げる。
「あいつぅ…。里乃、長澤は?」
「今ドアのとこいたけど」
そう言われてドアの方へ視線を移すと、茶髪の長身の後ろ姿が真っ先に目に入る。
「長澤!!ふざけすぎ!」
教室から出ていこうとする手前で、呼び止める。
「俺大真面目ですけど?さっきのあれ、ちゃーんと教えてよね。佐野ちゃん」
「誰が教えるか!」
教室中に響く大声で怒鳴ると、長澤は舌をチョロッと出して颯爽とどこかへ行ってしまった。