「はーい。わかってますって。きゃあ~やめてーとか、少しはノッてくれたっていいのになー」


「すいませんねー。ノリ悪くて」


「………もっと違うことでだったら、ノッてくれる?」


フードを外し、どす黒いクマを作るため、目の下に茶色や黒のシャドウを塗ったくった死神メイクで、うつろ気味に彼女を見下ろす。



もはや優月には嫌な予感しかしない。

胡散くさそうに顔をしかめる彼女に、そっと詰め寄る長澤。



背後が壁で、逃げ場のない状況はまさしく、『呪いの森の城』のクライマックスそのもの。




「…やっぱこの間のキスじゃ物足んねーな。もっと、別のことしない?」


ふいに耳に口を近づけ、かすれ気味の囁きボイスで言う。


吐息までまじり、余計に彼らしからぬ色っぽさまで見せられ、不覚にもドキンと高音で心臓が跳ね上がる。

死神メイクのせいか、いつものチャラい雰囲気は消え、代わりにミステリアスさを醸し出している。