陸はわしゃわしゃと両手で優月の頭をもみくちゃにした。
「ぎゃー、せっかく髪洗ったのに!」
「だいたいゆづは、本当に周りを見なすぎなんだよ。そのせいで俺がどんだけ…、ゆづ?」
俯く優月に気づき、そっと手を彼女の頭から離す。
「助かってたよ。いつもいつも、頼りっぱなしだった。怖いけど、すごく優しいもん陸は。多分ウザイって思われるだろうけど、これからもいっぱい頼っちゃうかもしれない。…だから、大目にみろ!」
「ぷっ。何を言い出すかと思ったら、はははははっ」
今日やっと見た陸の笑顔が、優月の心の奥に押し込めた気持ちを揺らした。
「ねぇ、もし私に彼氏できたら、どう思う?」
「え?そうだなぁ…。まずショックだな。兄的には。でも、でかしたぞって祝ってケーキでも作ってやるよ」