あぐらは辞めておいて、体育座りで。
プリンの蓋をはがそうとした時、陸の言葉で優月は手を止めた。
「…、蓋。ちゃんとはがせるか?」
「大丈夫だよ。子供じゃないんだし…」
「はは、だよな。ガキの頃、お前はがせなくてさ、とってぇ~とってぇ~って。よく甘えてたよな」
「そ、そんなことも…あったね」
思い出話なんて、再会してからあまりしてこなかった。
お互い照れくさい部分があるからかもしれない。
覚えてる…。
二人が大好きだった、甘くて優しい味のプリン。
くまのキャラクターが目印の【ポコタのプリン】は、ポコタシリーズとしてチョコやアイスなど様々なお菓子を展開している。
その中でプリンは二人のおやつの定番だった。
なかなか蓋がはがせなくて、つい手を滑らせ、案の定中身を落としてしまってから、陸はその度に必ず蓋をはがしてくれた。
中身を落とした時は、自分の分を全部くれた。