帰宅後、結局陸と優月は会話らしい会話はしないままだった。
本人達はケンカを長引かせるつもりもなかったが。
おばあちゃんにプリンがあると言われ、お風呂から上がった後、優月はうきうきしながら冷蔵庫からプリンを取り出す。
すると、誰かがいる気配に気づく。
振り返ると居間には陸の姿が。
しかも、同じプリンをすでに食している最中。
「…。」
「…。」
お互い目が合うも、気まずい空気に視線を逸らす。
そろりと背を向け、自分の部屋に行こうとする優月。
「こっち、くれば」
ボソッと陸はぶっきら棒に言った。
少したじろいだが、優月はスタスタ居間へ向かい、無言のままストンと陸の隣に座った。