アルバム最後の写真は、1歳を迎えた瞬の誕生祝いのものだった。
全部見終えた優月はゆっくり静かに息を吐く。
冷静に見ていたはずなのに、いつの間にか呼吸するのを忘れていたかのように、途端に胸が苦しく感じる。
それはまるで、アルバムの中でタイムスリップしていた過去から、現実世界に舞い戻ったような錯覚だった。
今頃になって心臓が激しく脈を打ち、彼女はアルバムを膝の上に乗せたまま放心する。
ふと窓を見れば、鋭利な角度になった西日が部屋の中に差し込んでいた。
覚悟は決めていた。
そのはずだった。
長澤に打ち明けてから、徐々に気持ちを固めていったのだ。
けれど、実際真実を目の当たりにしてみればどうだろう、やはり心はナマモノ。
こればかりは想像つかなかった。
彼女の存在を知ってから溢れ出た涙が、再びこみ上げてくる……。
帰宅した陸が優月に声をかけたのはそんな時だった――――――。