そこには、離ればなれになってから流れていた、優月の知らない時間の陸の姿があった。
――――――今から一時間程前。
学校から帰宅した優月は、静けさに比例する部屋の冷たさの中、家に誰も居ないことが真実を見つめる気持ちに拍車をかけた。
自室には向かわず、おばあちゃんと瞬が眠る寝室へと向かった。
西日がよく当たるその部屋は、他の部屋より比較的暖かい。
部屋に入ってすぐ、仏壇の前で正座をする。
仏壇の上には瞬とおばあちゃん達が折っていた、花や動物の折り紙が沢山飾られてあった。
優月は初めて仏壇の前で、手を合わせる……。
以前にもう見ることはないと思っていた、分厚いアルバムを手に取る。
日に焼け、色もすっかり褪せてしまっている。
長いこと沢山の思い出を集めてきたであろうアルバムは、今改めてその重みを感じる。
けれど多少緊張していても、もうあの時のような迷いや躊躇いは持たずに、優月は落ち着いた気持ちでアルバムを開いていった。