それっきり、その先は優月と一緒に写っている写真はない。
「……懐かしい。ほとんど覚えてないんだけど、でもよくおんぶしてくれたのは覚えてる」
顔を上げない彼女は、少し鼻にかかった声。
陸はとっくに気づいていた。
彼女がさっきから泣いていたことに。
隣に腰を下ろしあぐらをかくと、陸は一緒にアルバムを覗く。
パラパラとめくっていくとあるページ手前で、優月の手が止まり、その指が小さく震えていた。
ポタリ、ポタリと制服に涙の雫が染みを作る。
「……どうした?ゆづ」
堪らず声を掛ける。
「ごめんっ、ごめん陸、見ちゃったんだ……」
頑なにめくれずにいるページの向こう。
彼は何があるか当然知っている。
意を決した陸は、めくろうとする彼女の手を覆うようにしながら、一気にページをめくった。