「ただいま」
バイトから帰宅した陸は誰からの応答もない、やたら静まり返った家にふと疑問を持つが、そのま居間へと向かう。
その場所にはもちろん誰も居ない。
流し台も全部きちんと洗って、食器もしまわれてあり、卓袱台の上も散らかっている様子はなく。
掃除も行き届いている辺り、不自然に荒らされた形跡はない。
「……そう言えば、今日児童センターで子供の教室があるって言ってたっけ。じーちゃんも行ったのかな。にしても鍵掛けてねぇなんて…、危ねぇな」
ぶつぶつ言いながら時計を見ると、4時を数分過ぎたばかり。
そろそろ優月も帰ってくる時間だ。
自室に戻ろうと廊下に出ると、戸が不自然に僅かに開いている寝室に気づく。
瞬とおばあちゃん達が寝ている部屋だ。
ひょっとしたら、強盗が入り込んでいる可能性も含め、陸は注意深く戸の向こうを覗いてみることにした。