「ぎゃあぁぁぁぁぁ!うぁぁぁぁぁ!」
休日、里乃と優月がファミレスでお昼を食べていた時のこと。
けたたましく子供の泣き声が店内に響いた。
自分達の席の前の席に、その家族連れはいた。
母親が席を外したためか、途端に泣き喚きだしたようだった。
必死に父親があやすも、泣きやむどころか酷くなるばかり。
「…やっぱママがいいかぁ。まいったなぁ。ちょっとお外行こうかっ」
そう彼は零し、子供を抱いて店の外に出て行った。
店内に話声で沸く騒音が戻る。
「すごかったね、まだ赤ちゃんかな」
家族達がいた後ろをちらっと振り返って、里乃は肩をそぼめる。
「うん。多分1歳くらいかも……」
「お父さんだよね、あの人。大変そうだねぇ~。うちらもいつか育児する日来るのかな、何か信じらんないよね。あんな風に泣き喚かれたら、パニックになりそう」
ズズズッとジュースのストローを吸う彼女を、優月はぼんやり眺めた。