「楽しかったなー、やっぱみなみの作品は完売したけどね。あ、でも私も2個売れたんだよ?パスケースね」


ピースサインをして見せるも、それがそのままピースサインの意味なのか、2個の2を表しているのか、仁科はドヤ顔だった。



するとここで薄々気づいていたことを、優月は仁科に聞く。


「よかったじゃないですか。……で、その、みなみさんて人、元手芸部なんですよね。私、入部した時いませんでしたよね。今日も部室に来てないし……。もしかして、退部しちゃったんですか?」




話を聞く限り、きっとみなみという人は、今いるどの部員よりも遥かに裁縫が上手だったはずだ。



今年の春入部した時、そんな人は在籍していなかった。


今まで2年の先輩からも噂も何も聞いたことがなかった。







一体どんな人なのか、優月はとても興味深かった。