後輩である優月すら、心配でよく仁科の様子を見に行っていた程だ。


年上なのに世話が焼けるとこがまた優月はツボだった。




そして今も同級生のように、優月はあぐらを堂々かきながら耳を傾けている。


「……でね。その時隣に座ってた子がね、あ、その子みなみっていうんだけど。みなみも体験入部に来てて、私の縫い方がよっぽどやばかったんだろうね、『待って!』って止めんの、急に!私びっくりしちゃってー、だってクラスも違ったし、まだ話したこともなかったんだよ?その第一声が『待って』だもん。何事かって、はははは」



仁科は時折思い出し笑いをしながら続けた。




話によると、そのみなみという子が、不器用な仁科を見かね、体験入部で作っていたポーチを厚かましくも、一緒に仕上げようと言い、そのまま入部する流れになったそうだ。

みなみは仁科とは正反対の裁縫上手で、おおざっぱな仁科とまめで真面目なみなみの真逆の二人は、いつしか名コンビになっていったそう。