里乃も後藤も、長澤が優月に告白したことを知らなかった。
ただ、二人をくっつけたい、くっついたらいいなとはずっと思っていた。
あんなことがあって、少なからず優月の心が僅かに長澤に傾いたことはあったが、そこから発展することはなかった。
何よりこれまでの四人の関係が崩れるのを二人は恐れ、言い出せなかったのだった。
何事もなく進んでいく日常で、薄れていく二人の短い恋仲の過去。
それでも、彼を傷つけたことに何ら変わりはなく、優月は忘れることなどできなかった。
仮に里乃達の前で先ほどのような話題になっても、きっと彼は何事もなく笑い飛ばして茶化してしまうのだろう。
そんなことになれば、さらに傷が痛むだけだ。
自分よりも、きっと彼の方が。
先が見えている優月は、絶対に何がなんでも、あの話題には触れないように避けようと、強く決めたのだった。