「えっ?」
話の内容が掴めず、三人を見渡す長澤。
「う~ん。圏外ってとこか」
「だね。しゃあないね」
落胆する後藤に続いて里乃も、肩をすくめる。
「お、おい?なんだよ、お前ら。仲間外れすんなよなぁ」
予鈴が鳴り、それぞれの席に散っていく中、長澤一人不服そうで、頬を膨らませる。
するとおもむろにしゃがみ、優月の机に両肘をついて、両手を頬に添えながら女子っぽいポーズをとる。
「…佐野ちゃん。何か知ってんの?教えて」
自分で自覚しているのか、デカい図体で甘える姿は滑稽だし、憎めずかわいい。
やはり大型犬の子犬だ。
「何でもない。……ただ長澤がゆるキャラっぽいなって話してただけ。目立つし、踊れるし?笑えるし」
「なーんだ。それ、褒めてんのか?ま、いいや。じゃな」
苦笑しながら彼が席を離れていくと、優月の心の隅っこが思い出したようにチクっと痛んだ。