「しいて言うなら……、年上かな」


宙を見ながら当たり障りない返答をした。

が、しかし……


「ほー。なるほどね」

と、納得したように言う後藤をよそに、里乃はここでさらに掘り返す。


「やっぱり、あれでしょ。理想は陸お兄さんでしょ」



絶句。

優月は目が泳いだ。



まだ認めてもいないのに、ぺらぺらと勝手に里乃は続ける。



「分かる!超分かるよー。だって、完璧男子陸お兄さんだもんねー。そんな人が近くにいたら当然だよ」


褒めちぎる里乃に、後藤はもう最近では慣れたのか呆れ顔だった。


「いや、ないよ。ないない。逆に正反対くらいの、ゆるーい人がいいって。真面目で疲れる」


「例えば、こいつみたいな?」



そう言いながら後藤がポンと肩に手を置いたのは、たった今来たばかりの長澤だった。


「何?俺がどうしたって?」


「……何でもない」


長澤と目が合い、一番先に出てきたのは素っ気ない、いつも通りの言葉だった。