まともに顔を見れなかったが、去り間際一瞬だけ見た表情は、少し疲れていたように見えた。




きっと、あれから眠れていないのかもしれない。




自分の部屋ではなく、今は下の部屋で瞬と寝ている。







瞬だけではなく、陸は家族みんなのことを心配しているのだろう。


それがどんな時でも……。





そんな彼に余計な心配などかけてはいけいない、そう思うも、今はそれさえも疎ましい気持ちになり、彼女の胸をえぐった。



“家族”として自分も素直に瞬を慰められたら、心配できたら、それが一番なはず。





『これが、ただの赤の他人だったら、もっと良かったのに……。そうだったら、色んなことに苦しくなったりしないのにっ』






そんなことをはち切れるほど強く思ったのは、今までで初めてだった。





優月は悲しくも寂しくも、そして憎くくも感じる今の自分が、たまらなく大嫌いだった。