居間に行くと陸のバッグが置いてあるのが目に入り、もしかしてと、今来た玄関をもう一度ちらりと見ると、やはり陸の靴がある。
きょとんとしながら部屋を見渡す。
彼女は瞬が突然泣き喚き、家に帰ってきたことを聞いていなかった。
一人何も知らされていなかったのだ。
「あれ…?陸帰ってるんだ。早いね、バイトだったんじゃないの?」
「う、うん。そうなんだけどねっ」
「…ま、ちょっとな、瞬がぁ……」
「え?瞬ちゃんが何?」
歯切れの悪いおばあちゃんに、言葉に詰まるおじいちゃん。
しかも、何か言いたそうなおじいちゃんの腕を掴み、阻止までしたおばあちゃんに少し驚く。
そんな二人揃っておかしな態度に余計に疑問が湧く。
妙な気持ち悪い雰囲気が漂い、優月はすぐに陸と瞬を探した。
探すと言っても、この家屋はそんなに探し回る程の広さは無く、彼等が居そうな部屋は簡単に検討がつく。