「何か、あったんだろ。話せる範囲でいいから、話してくんねぇかな。俺、さっき聞いちゃったんだ。小柳の友達がお前抜きで何か約束してるとこ…」
彼女は箸の動きを止め、お弁当の淵に置く。
「そしたら、教室にお前戻ってこねぇし、おかしいなって」
「…はぁ。ほんっとに相園君らしいね。全然ほっといてくれそうにないんだもん。しつこいって感じ。この前も言ったでしょ、一緒にいることを選んだのは自分だって。だから…」
半ば苛つきながら言う彼女の言葉を陸は遮った。
「もういい加減辞めろよ。そういうの。いくら自分で決めたことでも、そんなの言い訳ねぇだろ。何でお前が我慢しなきゃなんねぇの?……本当はすげぇ、辛いんじゃねぇの?」
そう言い終えるやいなや、彼女の瞳から涙が零れ落ちていた。
静かに涙を流しながら、ゆっくり彼女は話した。
「……この前ね、告白されたんだ。その人ね、聡美の彼氏だったの。当然断った。気持ちもなかったし。告白されたことは黙ってた。二人がラブラブだったこと、ずっと知ってたから。後から二人が別れたこと聞いた。それで、彼氏が私に告白してたこともバレて…。気まずくなっちゃって。……それから、かな。避けられるようになったのは。って、もっと、前からだけどねハブられてるとか。相園君の知っての通り」